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密教と曼荼羅

密教の世界を身近に感じさせるものに曼荼羅があります。宇宙の真理を神格化した大日如来を中心に色彩鮮やかな数多くの佛・菩薩などが、波紋を拡げるように描かれています。

   

曼荼羅は、仏教で信仰された諸菩薩や密教特有の忿怒尊と共に、インドで人々に信仰されていた梵天や水天などの神々で構成され、衆生教化のそれぞれの役割を果たす様子が表現されています。密教や仏教以外の信仰や文化を否定し排除するのではなく、あらゆる存在を尊重し、包摂する密教の特徴が映し出されています。曼荼羅には生きとし生ける現われは、根源や本質を同じくするというメッセージも込められています。

 密教は弘法大師空海(774-835)によって日本に請来されます。当時の仏教界には華厳宗・三論宗・法相宗などの南都六宗と伝教大師最澄の開いた天台宗がありました。いずれも中国で成立した宗派ですが、密教は未だ理論体系化されていませんでした。空海は、密教の思想的特徴として、即身成仏の理論や十住心思想を提唱することになります。

 

 東日本大震災以来、多くの不安材料を抱える現代社会、世界的なコロナ騒ぎ・ウクライナとロシアの紛争など混迷を極める世界情勢。持続可能な世界と新たなる価値観の構築が議論され、グローバルな視点に立った意識の改革が求められていますが、その前提条件がひとり一人の心の平和・調和といわれます。空海の普遍的意識と祈りに触れていただく機縁になれば、幸いに思います。

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